「氷の朔日」とは
暦がまだなかった時代に稲作の作業を基準にして一年を、田の神を迎えて種まきをする春と、米を収穫して田の神送りを行う秋との2つに大きく分けて考えていました。
そのため、6月は前の半年の最後、折り目の月として重要視されていました。
宮中では6月1日に「氷室の節会(ひむろのせちえ)」という、氷室に保存しておいた氷を臣下に分け与えて食べる行事がありました。氷室とは、自然の涼しい場所を活用して、
冬の時期に雪を詰めて夏まで貯蔵する室(保存庫)で、冷蔵庫のない時代に重宝されていました。江戸時代には諸大名が氷を将軍に献上するようにもなったほど氷はとても貴重で、
この氷を食べることで、これからの暑さに負けないと言われていました。
またこの習慣は庶民にも広がりましたが、庶民の間では氷の代わりに、「氷餅(凍み餅(しみもち))」と呼ばれる餅を焼いて食べられていました。
このように固いものを食べ、歯を丈夫にして長寿祈願することから『歯固め』とも呼ばれています。