「重陽の節句」とは
重陽の節句は五節句(人日・上巳・端午・七夕・重陽)の1つです。「重陽」とは9月9日のことで、この日は菊に長寿を祈ります。そのためこの日を別名「菊の節句」と呼びます。
五節句は、奇数は縁起の良い陽数(逆に偶数は縁起の悪い陰数)という考えから奇数が連なる日にお祝いをし、中でも一番大きな数字である9が重なるこの日を陽が重なると書いて「重陽」と呼び、
不老長寿や繁栄を願う行事が行われてきました。五節句を締めくくる行事として、昔は最も盛んだったと言われています。
菊は、中国では邪気を祓い長生きする効能があると信じられていました。能楽で700年もの間菊のおかげで少年の姿で生きたという「菊慈童(きくじどう)」伝説という演目もあるくらいです。日本では平安時代初期に、
当時まだ珍しかった菊を貴族の宮中行事として眺めながら、菊に関する歌合わせや菊を鑑賞する宴が催されたりしてきました。また8日の夜に菊に綿をかぶせ9日に露で湿ったその綿で体を拭くなどの、
菊を使った厄払いや長寿祈願が行われてきました。